旧い友人に子どもが産まれた

  • 2019.09.14 Saturday
  • 10:05

旧い友人に子どもが産まれた.

折しも月は十三夜,今まさに満ちんとする月の躍動が,友人の子の人生を厳かに照らさんことを祈りたい.

 

友人のIはどのように子を育てるのだろうか.

いや,どのように子の育ちを見取るのだろうか,というべきだろう.

我々は,経験主義教育に心酔しているのだ.

母性教育.経験主義.共同的な学び.最近接発達領域.正統的周辺参加.

うら若き大学生の頃,あんなにも熱中し,心を震わされた教育理論.

それをIは,あっさりと捨てるだろう.

そして,かつて自分が,我々が受けたような,系統主義,詰め込み教育を子に施すのだろう.

万感の願いを込めて私が贈る11色のクレパスは,公文式のドリルの丸付けに使われるのだ.

 

理想の教育を研究した者が,その理想を自らの子どもに授けるという幸福は真に得難い.

なぜなら,研究する者は逆説的に,その理想の限界を最も熟知しているからだ.

 

教育を系統主義と経験主義に乱暴に分けるならば,どちらを採るべきか.

国全体の教育を考えるとき,我々の選択は経験主義以外にありえないだろう.

しかし目の前に居る自分の子どもとなるとどうだろう.

ハイマール経験主義,もとい這い回る経験主義のさなか,抽象の階段の前で這っている我が子を,温かい目で見ていられるだろうか.

 

系統主義が悪なわけではない.

問題は,その系統は何を基にし,何を目標としているかだ.

過去の再生産と,画一的な目標にオリエントされた系統主義は, 無批判で思考力のない労働者を効率よく排出する装置でしかない.

 

最も善く教育学と経済学を修めた彼が,理想の教育を子どもに与えられることを心から祈りたい.

 

 

折しも初秋の令月にして,気淑く風和らぐ.

旧い友人に子どもが産まれた.

 

 

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>

selected entries

categories

archives

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM